こんにちは。
神戸三宮鍼灸接骨院SORA院長の藤原直人です。
前編では、いつまでも自分の足で歩き続けるための「正しい歩き方」や「靴選び・靴ひもの締め方」について詳しく解説しました。後編はその一歩先、私たちが毎日何気なく履いている「靴下(ソックス)」にスポットを当てていきます。
「健康のために機能性の高い靴下を選んでいる」というシニアの方も多いのではないでしょうか?
しかし、良かれと思って選んだその靴下が、実は足の本来のチカラを邪魔しているかもしれません。治療の現場から見えてきた、驚きの新常識をお届けします。
靴下選びを間違えるとどうなる?体に現れる危険なサイン
靴下の選び方を誤ると、足元だけでなく全身のバランスに以下のような悪影響を及ぼすリスクがあります。
- ケガのリスクが急増する
- 体幹力が弱くなる
- 着地(コンタクト時)にしっかりと地面を踏ん張れない
- スイング動作がぶれる
- 歩行中や運動中、また就寝中によく足がつる
- 姿勢が崩れ、猫背の原因になる
健康のために歩いているつもりが、靴下によって姿勢を崩し、ケガを招いてしまっては本末転倒です。
では、どのような基準で靴下を選べば良いのでしょうか。
結論:Simple is the BEST! 「素足のチカラ」を最大限に生かす
結論から申し上げると、靴下選びの正解は「シンプルこそが最善の方法」です。
人間には、本来備わっている「素足のチカラ」があります。小さな子供がすぐに靴下を脱ぎたがるのは、人間としての自然な身体感覚(裸足になりたい」という欲求)だからです。裸足・素足こそが、健やかに動くための基本となります。
骨で体を支える「3点支持」の重要性
足の構造を考えると、カメラの三脚と同様に【親指・小指・踵(かかと)】の3点でしっかりと地面を捉え、骨で体を支えている状態が最も重要です。3点で支えるからこそ、不安定な地面の上でも重心を安定させることができます。
現代の多くの機能性靴下は、アーチサポートやテーピング理論によって足裏を「面荷重」にしてしまい、フィット感や履き心地が良く感じられる一方で、土踏まずの本来の仕事を邪魔してしまっているケースが少なくありません。足がのびのびとした環境で、3点支持で踏ん張りやすい環境を作ることが理想です。
「五本指ソックス」は本当におすすめ?知っておきたい落とし穴
「指が動きやすく、地面を踏ん張りやすい」というイメージから、シニア世代やアスリートにも人気の高い五本指ソックスですが、基本的にはおすすめしません。
確かに「指が独立して動きやすい」という事実はありますが、データによると、通常の靴下に比べて五本指ソックスの方が指の荷重が増大するという結果が出ています。一見良さそうに思えますが、身体構造上、体重を支える主役はあくまで先述した「3点(親指・小指・踵)」です。
五本指ソックスがもたらすリスク
- 横アーチの崩れ(開張足)
五本指ソックスの締め付け(サポート)の強度や長時間の使用により、土踏まずの横アーチが押しつぶされてしまう原因になります。 - ハンマートゥのリスク
指先で踏ん張る状態が長く続くと、指が曲がったまま戻らなくなる「ハンマートゥ」になりやすくなります。ただ立っているだけでも前方重心になり、姿勢の崩れやパフォーマンス低下に繋がります。 - 膝まわりのケガリスク上昇
土踏まずの横アーチは、膝の動きをコントロールする役割も担っています。五本指ソックスの着用によって横アーチが機能しなくなると、膝の動きにブレが生じ、靭帯損傷や半月板損傷、鵞足炎(がそくえん)など、膝まわりのケガのリスクが高まります。足底腱膜炎などの足の病気でお悩みの方も、窮屈な靴下や多機能ソックスが原因になっていることが少なくありません。
着圧ソックスやふくらはぎサポーターの盲点
むくみ対策や疲労軽減のために「着圧ソックス」やふくらはぎの「カーフタイツ(サポーター)」を日常的に使っている方も注意が必要です。
テーピング理論を応用した着圧製品は、筋肉内の調整を一定に保つ目的があるため、瞬発系のスポーツなどでは効果を発揮する場合があります。しかし、日常生活やウォーキングなどの有酸素運動においては使用をおすすめしません。 短時間トレーニングの代表である加圧トレーニングと同様に、着圧状態は筋肉を疲労させやすいというデメリットがあるからです。
江戸時代の知恵「脚絆(きゃはん)」に学ぶ
江戸時代の飛脚や町人がふくらはぎに巻いていた「脚絆」は、現代のような強い着圧ではなく、悪路を走るときのすり傷や切り傷、打撲防止のために使われていました。
また、草鞋(わらじ)の長い紐を膝裏に巻きつける血止めのような工夫はありましたが、ふくらはぎ全体を強く圧迫するのではなく、膝裏に巻き付けるという高いレベルの知恵が詰まっていました。
研究データでも、ふくらはぎを圧迫した場合、膝裏やハムストリングスを圧迫した場合に比べて、明確に身体への悪影響(悪影響を及ぼす圧迫)があることが分かっています。「第二の心臓」とも言われるふくらはぎは、締め付けることなく、自由に使える状態にしておくことが理想です。
シニア世代に選んでほしい「理想の靴下」チェックリスト
これまでの内容を踏まえ、皆さんが明日から実践できる「体に優しい理想の靴下」の条件をまとめました。靴下を新調する際や、毎日のウォーキングのお供を選ぶ参考にしてください。
(〇推奨)
シンプルな靴下、発汗性(吸汗速乾性)、軽量性、足袋型靴下
(△注意)
滑り止め付き(適度なものなら良いが、強すぎると足の動きを制限します)
(×非推奨)
五本指ソックス、アーチサポート/テーピング理論付き、着圧ソックス、競技特化型靴下
心地よく歩き続けるために
保温目的で靴下を履くのは素晴らしいことですが、「極力、足を圧迫しないもの」を選びましょう。
家の中では、スリッパや分厚い靴下を少し脱いで、「素足(裸足)で過ごす時間を増やす」工夫をするだけでも、足裏の感覚センサー(メカノレセプター)が刺激され、転倒防止やバランス能力の向上につながる一番の「足育(あしいく)」になります。
間違った機能性にとらわれず、足本来のチカラを邪魔しない「シンプルな足元」で、今日も心地よくウォーキングを楽しみましょう!
秋の散歩シーズンに向けた足元準備
暑さで外に出にくいこの時期こそ、室内で過ごしながら「足裏の感覚」を整えたり、秋のお出かけに向けた「靴や靴下」を見直したりする絶好の機会です。涼しくなってから思う存分、快適に歩くための「事前の準備」として、ぜひご自身の足元選びに本記事をお役立てください。
(執筆者)
藤原直人(ふじわら なおと)
神戸三宮鍼灸接骨院SORA 院長

