皆さんこんにちは。調理師のおかけんです。
お盆が近づいてまいりましたが、里帰りの準備などで慌ただしくされている方も多いのではないでしょうか。今回は、この時期ならではの「精進料理」についてお話ししたいと思います。
ご先祖様への感謝の気持ちを込めた料理「精進料理」
精進料理とは肉や魚を使わず、野菜や豆、海藻などの植物性の食材だけで作る料理のことです。生き物のいのちをいただくことを慎み、ご先祖様や、すべての「いのち」に感謝する気持ちを込めて、お盆の時期に作られてきた料理といわれています。
とはいえ、「お盆の期間中、ずっと肉も魚も使わない食事にしなければ」と身構える必要はありません。実は今の時代、盆棚にお供えする一食分だけを精進料理にして、あとのご家族の食事はいつも通り、というご家庭も多いようです。大切なのは形式を完璧に守ることよりも、ご先祖様を思う気持ちを、無理のない形で表すことなのかもしれません。
里帰りのごちそうに、「精進料理の心を」
久しぶりに家族や親戚が集まるお盆は、どうしても品数の多い、賑やかな食卓になりがちです。そんな中に一品だけ、精進料理の心を映した料理を添えてみると、いつものごちそうに少し違った趣が生まれます。
五目豆――大豆や根菜で作る煮物
大豆、ごぼう、れんこん、人参、こんにゃくなどを煮含めた五目豆は精進料理の定番として親しまれてきた一品です。動物性の食材を使わなくても、複数の根菜と豆の旨みが重なり合い、しっかりとした満足感のある味わいに仕上がります。作り置きもできるので、来客の多い時期に重宝する一品です。
がんもどき――肉の代わりに、豆腐で作るごちそう感
がんもどきは精進料理において肉の代用として使われてきた食材です。豆腐をベースに、人参やひじきなどを混ぜ込んで作られており、煮付けにすると、肉料理にも負けないごちそう感が生まれます。噛みやすく、消化にもやさしいので、幅広い世代で囲む食卓にも取り入れやすい一品です。
そうめん――お供えにも、おもてなしにも
そうめんはお盆のお供え物としても古くから用いられてきた食べ物です。かつては貴重な食材だったこともあり、特別なごちそうとして扱われてきたと言われます。喉ごしがよく、暑さで食欲が落ちる時期にも食べやすいので、精進のお膳としてだけでなく、里帰りしたご家族をもてなす一品としても活躍してくれます。
「調理師おかけん」からのひとこと
お盆のごちそうというと、つい品数や豪華さに目が向きがちですが、その中に一品、精進料理の心を映した料理を添えるだけでも、ご先祖様を思う気持ちが食卓に表れるのではないかと思います。
形式にとらわれすぎず、ご自身のご家庭に合った形で、無理なくこの時期を過ごしていただければと思います。
皆さまのお盆が、穏やかで温かいものになりますように。
(執筆者)
おかだけんいち (おかけん)
日本料理 調理師

