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彩時生活では、読者のみなさんの「今日の一歩」を募集しています。

(読者投稿)憎めないおっちゃん

丹波篠山に仕事に行った時の話だ。一仕事終えた僕はバスを待っていた。
「にいちゃん どっから来たんや」
あきらかに昼から一杯ひっかけてるおっちゃんは、僕に勢いよく話しかけてきた。
「仕事で大阪から来たんや」
おっちゃんは、そこから聞いてもいないのに自分の生い立ちを僕に語り始めた。
昔は、鉄工所で働いていて高給取りであったこと。
元々大阪に住んでいたが、2〜3年前に田舎に空き家があったため、丹波篠山に引っ越したこと。
呑んで帰る途中、トイレを我慢できなくて自分の家の敷地で立ちションをしたら、近所の住民に通報されたこと。
隣の家では、子供が夜の9時からピアノを弾くらしく、不眠症になっていること。朝の4時に目が覚めるおっちゃんは、ピアノに対抗して朝から大きな声で歌い、お隣さんとは険悪らしい。

気持ちよくおっちゃんが自分の人生を語っている時、バス乗り場に一人のおばさんがやって来た。
おっちゃんは、自分の座っているベンチにそのおばさんを座らせようとしたが、おばさんは座ろうとしない。
おっちゃんは、悲しそうな顔で再びベンチに座り直した。親切の空振りは、非常に恥ずかしいものだ。

ちょうどバスが来たので、おっちゃんと離れた席に座った。
酒場で楽しいおっちゃんは、今の田舎暮らしでは少し住みづらいのかもしれない。
滑舌は悪かったが、憎めないおっちゃんだった。

(ペンネーム) む

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