皆さん、こんにちは。調理師のおかけんです。
11月は、15日の七五三に23日の勤労感謝の日と、ご家族で食卓を囲む機会が増える月です。お孫さんのお祝いや、家族への感謝を込めて、「少しいいものを作りたい」と思われる方も多いのではないでしょうか。今回は、品数を絞っても、お祝いらしく仕上がる献立の考え方をお話しします。
お祝いの膳は、“縁起のよい食材”を一つ入れる
お祝いの席には、昔から縁起のよいとされる食材があります。たとえば、赤飯や、「めでたい」に通じる鯛、腰が曲がるまで長生きするようにとの願いを込める海老などです。すべてをそろえる必要はありません。この中から一つ、二つ選んで入れるだけで、いつもの食事が、ぐっとお祝いらしくなります。
七五三で子どもが持つ千歳飴にも、細く長く、長生きするようにとの願いが込められているといわれています。そうした由来を、お孫さんに話しながらいただくのも、お祝いの楽しみの一つです。
献立は、「主役を一つ」決めるところから
品数をたくさん作ろうとすると、当日の負担が大きくなります。まず、主役となる一品を決めてください。 たとえば、鯛の塩焼きや、鯛の刺身です。鯛が大きすぎる場合や手間がかかる場合は、切り身の塩焼きや、鶏肉の照り焼きでも十分です。主役が決まれば、あとは赤飯、汁物、煮物、酢の物の組み合わせで、バランスの取れた祝い膳になります。
組み立ての一例です。
主役:鯛の塩焼き、または鶏肉の照り焼き
ご飯:赤飯、または炊き込みご飯
汁物:澄まし汁
煮物:根菜の煮物(前日に仕込めます)
酢の物:紅白なます(紅白の色合いがお祝いらしく映えます)
当日の負担を減らす段取り
祝い膳で一番大変なのは、当日に何品も同時に作ることです。下ごしらえなど前日にできることは済ませておきましょう。煮物は、一晩置くほうが味がなじみますし、なますも前日に作っておけます。当日は、主役を焼いて、ご飯と汁物を仕上げるだけです。赤飯は手間がかかりますので、市販のものを上手に使っても、まったく問題ありません。
子どもも食べやすい工夫を
お孫さんがいらっしゃるお席では、子どもが食べやすいものを一品加えると喜ばれます。鶏の唐揚げや、卵焼きなど、普段から食べ慣れたものがおすすめです。味付けは、大人用より少し薄めにしておくと、みんなで同じものを楽しめます。
勤労感謝の日は、“ありがとう”の気持ちを新米のご飯に
11月23日の勤労感謝の日は、もともと、その年の収穫を神様に感謝する「新嘗祭」に由来する日です。ちょうど新米の時期でもあります。この日は、炊きたての新米を主役にした、素朴な食卓がおすすめです。ご飯、汁物、焼き魚、小鉢の一汁三菜で十分です。普段は忙しくて食卓を囲めない家族と、ゆっくり「ありがとう」を伝えながらいただく。それだけで、立派なごちそうになります。
「調理師おかけん」からのひとこと
お祝いの食卓は、豪華さよりも、「この日を一緒に迎えられてよかった」と思える時間が大切だと思います。主役を一つ決めて、前日にできる準備を済ませておけば、作る側もゆったりと席につけます。11月のお祝いが、ご家族みんなにとって、温かな思い出になりますように。
(執筆者)
おかだけんいち (おかけん)
日本料理 調理師

