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喉が渇く前に。野菜と果物で摂る、夏の“食べる水分補給”

こんにちは。「おかけん」こと調理師のおかだけんいちです。
このコラムもおかげさまで7回目を迎えました。いつも読んでいただき、本当にありがとうございます。
皆さんにはもっと親しみを持って呼んでいただけたら嬉しいなと思い、今回からは「おかけん」としてお届けしていきます。身近な料理番だと思って、どうぞお気軽にお付き合いください。

さて、暑さが本格的になってきましたが、皆さんは体調を崩されていないでしょうか。
今回は、この時期に特に気をつけていただきたい「水分補給」について、少し違った角度からお話ししたいと思います。

「水分はちゃんと摂っているつもりなのに、なんだか身体がだるい」──
夏になると、そんな声をよく耳にします。実は、喉の渇きを感じた時点で、身体はすでに水分不足のサインを出し始めています。
特にシニアの方は、もともと喉の渇きを感じにくくなる上に、水分を溜め込む筋肉量も若い頃より少なくなっているため、「気づいたら脱水気味」ということが起こりやすいのです。
さらに、汗をかいても本人が気づきにくく、エアコンの効いた室内にいても知らず知らずのうちに水分が失われていることもあります。「外に出ていないから大丈夫」とは限らないのが、夏の脱水の怖いところです。

だからこそ大切にしたいのが、飲むだけに頼らない、“食べる”水分補給。実は夏野菜や果物には、水分と一緒に汗で失われがちなミネラルもたっぷり含まれていて、食事をしながら無理なく潤いを補うことができます。しかも、一気に水をたくさん飲むよりも、食事を通して少しずつ水分を摂るほうが、身体への負担も少なく、胃腸が弱りがちな方にもやさしい方法といえます。

冬瓜(とうがん)――出汁を吸って、まるごと水分

冬瓜は全体の95%以上が水分といわれる夏野菜の代表格。
淡白な味わいだからこそ出汁の旨みをしっかり吸い込み、とろりとした口当たりに仕上がります。喉ごしがよいので、食欲が落ちている日にもすっと入っていきます。カリウムも豊富で、汗で流れがちなミネラルバランスを整えるのにも一役買ってくれます。皮を厚めにむいて柔らかく煮込めば、噛む力に不安がある方にも食べやすい一品になります。


きゅうり――塩もみひとつで、箸休めの名脇役

きゅうりも水分が多く、火を使わずに一品作れるのが夏場のありがたいところ。
薄切りにして塩でもみ、少し置いて水気を絞るだけで、立派な箸休めになります。少量の酢や生姜を効かせれば、食欲を呼び戻す一皿にもなってくれます。暑さで台所に立つのがつらい日でも、この一品なら気軽に作れるのではないでしょうか。


トマト――生でも煮ても、旨みごと水分補給

トマトは水分だけでなく、旨み成分のグルタミン酸も豊富。冷やして生でいただくのはもちろん、スープにして煮出せば、旨みごと水分を摂ることができます。
「冷たいものばかりで胃が疲れる」という日には、温かいトマトスープに切り替えるのもおすすめです。加熱するとリコピンの吸収もよくなるといわれており、夏の疲れが出やすい身体をいたわるのにも適しています。


すいか・梨――デザート感覚で、無理なく水分と塩分を

果物なら、すいかや梨も強い味方です。特にすいかは豊富な水分とカリウムが含まれています。ほんの少し塩を振って味わえば、汗で失われた塩分を補うのにも適しています。
デザート感覚で楽しみながら潤いを補えるのは、暑さで食欲が落ちている時期にはうれしいポイントです。キンキンに冷やすと身体を冷やしすぎてしまうこともあるので、常温に近い状態でいただくのも一つの工夫です。

「調理師おかけん」からのひとこと

「水分を摂る」というと、つい飲み物ばかりに意識が向きがちですが、実は毎日の食事こそが、いちばん自然な水分補給の機会です。喉が渇く前に、いつもの食卓に冬瓜やきゅうり、トマトを一品添えてみる。その小さな積み重ねが、暑い夏を元気に乗り切る身体づくりにつながります。
今日のご飯に、みずみずしい一品を。それが、この夏いちばんの養生かもしれません。

(執筆者プロフィール)
おかだけんいち (おかけん)
日本料理 調理師


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